【実験】羽毛布団の丸洗い〜ドラム式乾燥機

羽毛布団を丸洗いすると、中の羽毛がどうなるのか。

実験検証します。

丸洗いで損傷した羽毛の画像
丸洗いで損傷した羽毛

左:乾燥不良の羽毛 右:アルカリ性洗剤で洗った羽毛


丸洗い実験開始

新品の羽毛を生地に詰めて丸洗い

※中性洗剤を使用(アルカリ性は羽毛を傷める為)

羽毛布団を丸洗いする画像

実験用に1マス分の羽毛布団を作ります。サイズは37×42cm。羽毛はダックダウン85%で充填量60g(平均的な羽毛布団の1マスの条件)。その布団を洗濯機で丸洗いします。

ドラム式乾燥機で乾燥

羽毛布団を乾燥機にかける画像

丸洗いした羽毛布団をドラム式乾燥機で乾燥させます。乾燥時間は90分。布団はふっくら乾燥しました。

羽毛を取り出して比較

羽毛比較画像
左が新品の羽毛。右が丸洗いした後の羽毛

丸洗いした羽毛の方に、ごろごろした固まりがあるのが確認できます。個別に拡大して見てみましょう。

新品の羽毛画像
新品の羽毛
丸洗い後の羽毛画像
丸洗い後の羽毛

上の写真では分かりづらいかもしれないので、極端なサンプルを取り出して比較します。

新品羽毛拡大画像
新品の羽毛
丸洗い後、固まりになった羽毛の画像
丸洗い後、固まりになった羽毛

ここまでの実験は下の動画からもご覧いただけます(2分21秒)。

ー 実験結果 ー

乾燥で一部の羽毛が固まってしまう』

羽毛を洗うことそれ自体はとても良いことです。では、何がいけなかったのか? それは乾燥工程です。下の写真を見てください。

洗った後の羽毛の状態画像

羽毛は洗うとぐったりします。羽毛の精製工場では、この状態の羽毛を機械でかき回しながら高温乾燥させます

羽毛が詰め込まれた状態の画像

一方、丸洗い後の乾燥は、生地の中で羽毛が密集した状態なので、羽毛がほぐれて開くことができず、一部が固まってしまいます。

 

※参考までに、固定式の乾燥機で乾かした場合の実験もしています。

 

 

「羽毛がほぐれてリフレッシュする」とはどういう状態かを、下の動画で紹介します(34秒)。

 

羽毛を元気にするためには、羽毛を広い空間でほぐし、絡まっているチリや骨のカスを取り除くことが必要です。


ー 総論 ー

『丸洗い自体に問題はないが、乾燥復元が難しい』

ドラム式乾燥機と同様、羽毛は固まりました。やはり生地の中に羽毛が密集した状態での乾燥復元は不可能です。

 

羽毛を最も元気にする方法は洗浄〜直接乾燥

 羽毛布団の丸洗いが悪いわけではなく、洗った後の復元乾燥ができないんです。だから、羽毛の状態を良く保ちたいのであれば、できるだけ丸洗いは避けた方がいいと思います。

 

 ただ、洗わないことだけが良いということではありません。布団の使い方が悪いと羽毛は悪くなります。汗と皮脂が羽毛を劣化させるからです。

 

 適切に布団カバーを使用して(定期的にカバーも洗ってしっかりと乾燥させて)汗と皮脂を遠ざけていれば、羽毛布団は洗わずに干すだけでメンテナンスは十分です

 

 そして10年程度使用したうえで、生地の傷みや汚れなどが気になるようなら、羽毛布団のリフォームをおすすめします