羽毛布団の断熱性能を測定するための実験方法を公開します。
精度の高い実験器具ではなく民生品を使用しておりますので、
ある程度の誤差はあるものと考えてください。
羽毛布団の下に発熱体を置いて、羽毛布団の表面温度の変化を20分間測定。
【実験条件】
室温:5.9〜6.2度 発熱体温度:約38.5度
羽毛布団の組成:側生地ポリエステル85% 綿15% 立体キルト構造
使用する布団カバー:綿100%
表面温度上昇が速い→断熱性が低い
表面温度上昇が遅い→断熱性が高い
ということになります。
布団の保温性を示す指標は断熱性以外もありますが、
ここでは断熱性を主な指標にして、考えることにします。
【実験セットの模式図】
【表面温度測定法】
温度センサーが外気と触れないように、小さな羽毛布団を作って被せます。
【単品計測】
①本掛け(羽毛量:1,400g):カバー あり/なし
②合掛け(羽毛量:800g) :カバー あり/なし
③肌掛け(羽毛量:200g) :カバー あり/なし
【組み合わせ計測】
合掛け(羽毛量:800g)と肌掛け(羽毛量:200g)を重ねて計測
④合掛けと肌掛けをカバーを付けずに重ねた状態
⑤合掛けと肌掛けを重ねて1枚のカバーに入れた状態
⑥合掛けと肌掛けそれぞれにカバーを付けたものを重ねた状態
実験結果は以下のグラフのようになりました
実験結果から、断熱性の高かった順に並べます。
【断熱性の高い順】
① 合掛け800g+肌掛け200g(それぞれにカバーを付けて)
② 本掛け1,400g(カバーあり)
③ 本掛け1,400g(カバーなし)
④ 合掛け800g+肌掛け200g(1枚のカバーに入れて)
⑤ 合掛け800g(カバーあり)
⑥ 合掛け800g+肌掛け200g(カバーなし)
⑦ 合掛け800g(カバーなし)
⑧ 肌掛け200g(カバーあり)
⑨ 肌掛け200g(カバーなし)
【結果から見えてきた事】
① 羽毛の量が多いほど断熱性が上がる
② カバーを付けると羽毛布団の断熱性が上がる。
③ 羽毛量1,400gの本掛けより、合掛け800gと肌掛け200g(2枚合計羽毛量1,000g)それぞれにカバーを付けて重ねた方が断熱性能が良かった。この結果から、使用する羽毛量を減らしても同じ量の羽毛と同等以上の断熱性が得られることが分かった。これで羽毛の使用量を減らすことができると考えられる。